こちらの記事では、ナノファイバーの特性や製品について、地球環境の観点からその優位性を考えていきたいと思います。
SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))が世界的に掲げられる中、ナノファイバーがどの程度それにそぐう物なのか。17の目標から「エネルギー」の視点で考えてみました。
主にこの3点が挙げられます。
一つずつ解説していきましょう。
ナノファイバーと一言に言ってもその種類は様々。ポリプロピレンやポリエチレンテレフタラートなどからなる「高分子ナノファイバー」、セルロースや腱やDNAなどの「バイオナノファイバー」、カーボンナノチューブなどの「カーボンナノファイバー」、金属からなる「ナノワイヤ」など、その特長や性質もそれぞれ異なります。
これらの中でも注目されている「高分子ナノファイバー」ですが、その原料となるポリプロピレン。実は皆さんの身近な生活の中にもある様々な物に利用されています。
例えばレジ袋。最近では有料化が進み消費量は抑える取り組みがなされていますが、それでもどうしても生活の中で消費してしまいますよね。それに包装用の紐やバケツにもポリプロピレンは利用されています。
これらが廃棄、つまり「廃プラ」とされた場合、その廃プラを資源として再利用することで「高分子ナノファイバー」として生まれ変わらせることができるのです。
2017年末より中国政府は突然、これまで世界中から受け入れていた資源ごみ、プラスチックごみの輸入を禁止しました。これまで、輸出するペットボトルごみの7割以上を中国に送っていた日本でも、第3国に輸出する企業、国内処理に奔走する企業などが急増。世界は廃プラスチックの新たな輸出先を検討せざるを得なくなり、2018年以降、東南アジアや台湾向けの輸出が増加していましたが、いずれの国・地域も同年7月以降、廃プラスチックの輸入基準を厳格化しており、今後も同水準の輸出を続けることは困難になるだろうと考えられています。
行き場を失っていた廃プラスチックですが、これに対して「廃プラをナノファイバーにすること」で新たな付加価値を付け、廃プラの処理が可能であることを提案。世界各地で行き場を失い、山積みとなっていたプラスチックごみが、新たな役割を得ることとなりました。
ゴミから作られたナノファイバーが、さらに地球の自然を豊かにする。そんば理想とも言える循環が、実現されようとしています。
撥水性が非常に高いナノファイバーシートを広大な砂漠の中に埋めることで、どのような効果が期待されるでしょう?そこに雨が降れば砂漠の土に雨水が全て吸収されず溜まっていくので、大きな水たまりができるのです。これを大規模に行えば、「人工オアシス」が作ることがき、砂漠地帯の水不足解消につながると考えられています。
ロサンゼルスで実際に行っている貯水法
人工オアシスと同様の原理で、ナノファイバーシートの上に砂と緑を設置することで、重機を使わず安価に砂漠を緑化することができます。
また、水分が溜まることから風害(砂嵐)への対策にも繋がり、砂漠地帯に暮らす人々への大きな助けとなるでしょう。
淡水の入手が難しい島嶼(とうしょ)国家、離島などにおいて、安定的な水の供給は重要な課題です。そこでナノファイバーの特性である「超比表面積効果」を活用することで、海水を蒸発させて淡水を取り出すことで、安定した水源の確保ができると考えられています。
さらに、その過程で発生する高濃度の食塩水を利用して浸透圧発電も同時に行うことで、海水から「淡水」と「電気」を同時に生みだすことも理論上可能なのです。
いかがでしたでしょうか。本記事では「ナノファイバーが地球環境に与える影響」を、エネルギーの観点からご紹介しました。他にも様々なナノファイバー情報をわかりやすく更新しておりますので、是非他の記事もご覧になってください!