こちらの記事では、ナノファイバーの特性の一つである「ナノサイズ効果」を有効活用したナノファイバー製品についてご紹介します。
ナノサイズの太さであるナノファイバーだからこそ発生する効果です。「流体力学特性」、「光学特性」等が生み出されます。 これにより、圧力損失が低いのにサブミクロン粒子(※1μm以下、0.1μmまでの粒子の名称)を完全に補足できる超高性能フィルターが作られます。また、ナノファイバーの直径が光の波長より短いことから光の乱反射が減少し、透明度の高い繊維が作り出されるので、光透過性の優れた電子ペーパーなどへの利用が期待されます。
市販されている極細繊維(1ミクロン)の十~千分の1の太さを持っており、以下の2つの特性を持ちます。
以下では、2つの性質について解説します。
ナノファイバーに接する物質はスリップ流を起こします。そのため、分子や粒子の流体がナノファイバーと接するところでスリップ流が起き圧力損失が非常に小さくなります。また、ナノファイバーと接する液晶分子が駆動するときスリップし摩擦抵抗が減少し高応答性になります。ナノファイバーはフレキシビリティが高く、またナノファイバーと接するフィルム、布、平板等も滑りによるフレキシビリティが向上します。
これらの性質・技術から、
といった分野での製品化が実施・期待されています。
ナノファイバーの直径は、X線から可視光の波長域にあります。そのため、ナノファイバーの直径が可視光の波長より小さいとき、ナノファイバーを通る光は乱反射されにくく透明度の高いファブリックとなります。また、ナノファイバーの直径が可視光の波長と同程度のとき構造発色が起こります。
特に、ナノファイバー電子ペーパーには
といった特性があります。
ナノファイバーは吸音特性と断熱特性に優れた繊維です。
図表内、黄色曲線がポリプロピレン(PP)ナノファイバーです。低周波を良く吸収していることが分かります。それ以外の素材は赤色のグラスウール(GW)の半分の密度(GW64kg/cm3に対して30kg/cm3)で同等の吸音率を示す結果となっています。
また、ナノファイバーは隙間空間が多いため断熱性に優れています。
ナノサイズ効果により、熱伝導と対流を妨げることができるのです。
ナノファイバーを断熱・吸音材として利用することで、
としての活用が期待されています。
ナノファイバーを材料に吹き付けることで真空膜が発生します。1気圧、0度では、空気分子の大きさはΦ5-6nmとなりますが、平均自由工程はΦ68nmとなります。ナノファイバーの径がΦ50nmが繊維の層を形成すると層の中には空気分子が入れない状態となり、真空状態となった層が「真空膜」です。
真空になることで断熱・吸音効果が発生するため、例えば壁紙にナノファイバーを吹き付けることで将来的には断熱材や吸音材が必要ない家づくりが実現されるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。本記事では「ナノサイズ効果」から見るナノファイバーの働きについて紹介しました。これらの働きは、多くの可能性に溢れているナノファイバーの魅力の一つにすぎません。もっとナノファイバーについて知りたい方は、是非当社ホームページの別記事もご覧ください!