こちらの記事では、ナノファイバーの特性の一つである「超比表面積効果」を有効活用したナノファイバー製品についてご紹介します。
ナノファイバーを繊維化して細くすればするほど、単位重量当たりの表面積は飛躍的に大きくなり、 このことから「分子認識性」「吸着特性」等に優れた性質を持つようになります。これが「超比表面積効果」です。原子やイオン、分子の間に働くファンデルワールス力によって強い引力が発生することで、「広い面積に強い吸着力」が実現されていると考えられています。
同じ重さの毛髪(50ミクロン程度)と比べ、100〜10,000倍の表面積を持っています。
以下では、2つの性質について解説します。
外部の分子はタンパク質・DNAナノファイバー中の各種官能基を認識しやすく、高分子ナノファイバーは細胞と流動する低分子を区別します。そのことから、「高い分子認識性は優れたセンシング機能に繋がる」「ナノファイバーは細胞の足場として利用でき、栄養分の流動をスムーズにする」ことが可能です。
これらの性質・技術から、
といった分野での製品化が実施・期待されています。
表面積が大きくなることで、気体・液体・固体・微生物の吸着性が百倍~1万倍に増大します。そのことから、「多くのイオン(電荷)を電極表面に吸着し電気容量の大きいキャパシタや電極ができ」、かつ「多くの有害化学物質やダストを捕獲し空気を浄化する」ことが可能です。
これまで世界中で開発されてきたECC(※強化コンクリート Engineered Cementitious Composites)に、さらにナノファイバーを混入することで硬度・強度を増したコンクリート「AECC(Advanced Engineered Cementitious Composites」を作成することができます。
AECCの特徴は以下の通りです。
強化コンクリートは、地球温暖化における台風やハリケーンに向けた防波堤・橋・砂防ダムや、津波対策にも有効とされています。これを普及することができれば鉄筋・鉄骨を排除することができ、「1000年の寿命を持つコンクリート」として、これからの建築・建設・建造を変えていくことでしょう。
ナノファイバーの特性である「超比表面積効果」を活用することで、海水を蒸発させて淡水を取り出す装置が開発されています。安定的な水の供給が重要課題とされている淡水の入手が難しい島嶼(とうしょ)国家、離島にとって、これらはまさに命綱とも言える仕組みになるでしょう。さらに、その過程で発生する高濃度の食塩水を利用して浸透圧発電も同時に行うことで、海水から「淡水」と「電気」を同時に生み出すことも理論上可能と言われています!「水」と「電気」、現代生活のライフラインとも言えるこの2つが、ナノファイバーテクノロジーによって海水から生み出すことができるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。本記事では「超比表面積効果」から見るナノファイバーの働きについて紹介しました。これらの働きは、多くの可能性に溢れているナノファイバーの魅力の一つにすぎません。もっとナノファイバーについて知りたい方は、是非当社ホームページの別記事もご覧ください!