ナノファイバーとは

ナノファイバーでできること

ナノファイバー・・・それは、アニメや漫画で見たような「未来のテクノロジーを現実にできる」かもしれない、夢の新素材!

超極細の繊維を利用することで、「コンタクトレンズ型のコンピューター」「半永久的に動き続けるエネルギー」「透明だけど暖かくて羽毛より軽い服」「海水を淡水に変化させ水不足を解消するシステム」といったような、未だかつて無いテクノロジーを現実にできるかもしれない。

そのために、私たちは日夜研究開発を進めています。

なぜそんなことができるのか

まずは「ナノ」という単位について改めてご説明します!

私たちが普段扱う長さを表す単位に「mm(ミリメートル)」がありますね。そのミリの0.001倍にあたる単位が「μm(マイクロメートル)」。さらにマイクロを0.001倍にした単位が「nm(ナノメートル)」という単位です。つまり「1nm(1ナノメートル)」は1mの10億分の1の長さということになります。雨粒はだいたい1mm、人の毛髪で100μm、ウィルスで0.1μmと言われており、ナノはとても小さな値ですね。

そして、具体的には「毛髪の百分の一から千分の一の太さを持つ超極細繊維」「直径が1nmから100nm、長さが直径の100倍以上の繊維状物質」であることが、ナノファイバーの定義とされています。

このように極小の素材「ナノファイバー」には、「超比表面積効果」「ナノサイズ効果」「超分子配列効果」の3つの効果が発生し、これらが作用することで、極小のアンテナ導電性材料が作れたり、強力な蓄電効果から高性能蓄電池が開発されたり、透明度が高い生地を作ることができ、現在のテクノロジーを一歩未来へと進めることができるのです。

ナノファイバーの3つの性質

それではここで、先ほど名前が上がったナノファイバーの3つの性質について、より詳しく解説していきましょう!

超比表面積効果…

繊維化して細くすればするほど、単位重量当たりの表面積は飛躍的に大きくなり、さらに原子やイオン、分子の間に働くファンデルワールス力によって強い引力が発生します このことから、「分子認識性」「吸着特性」等に優れた性質を持つようになるので、バイオフィルター、センサー、燃料電池電極材などへの利用が期待されます。

ナノサイズ効果…

ナノサイズの太さであるナノファイバーだからこそ発生する効果です。「流体力学特性」、「光学特性」等が生み出されます。 これにより、圧力損失が低いのにサブミクロン粒子を完全に補足できる超高性能フィルターが作られます。また、ナノファイバーの直径が光の波長より短いことから光の乱反射が減少し、透明度の高い繊維が作り出されるので、光透過性の優れた電子ペーパーなどへの利用が期待されます。

※サブミクロン粒子は、1μm以下、0.1μmまでの粒子の名称です

超分子配列効果…

高分子鎖がまっすぐ並ぶことから生じる効果です。「電気的特性」、「力学的特性」、「熱的特性」等が生み出されます。 導電性の原子や分子を規則正しく配列することで、非常に導電性に優れた繊維ができ、モバイル燃料電池などへの利用が期待されます。 また、高分子鎖が真っ直ぐなことから非常に高強度になり、また構造が緻密になることから大幅に耐熱性が向上します。 「軽・薄・短・小」が必要な分野での高機能複合材料への利用が期待されます。

具体的な活用事例

そんな夢の素材「ナノファイバー」ですが、実は既に導入されている事例があります。こちらでは、弊社から製品化された2つをご紹介します。

ナノファイバーマスク「MIKOTO」

「ナノファイバーとは」の項目でご説明したように、ナノはウィルスよりも小さな値です。そのため、ナノファイバーを不織布で挟み込むで、物理的にウィルスの侵入を妨げる「ナノファイバーマスク」が開発されました。一般的なマスクが静電気によってウィルスの侵入を防ぐことに比べ、ナノファイバーマスクはファンデルワールス力により発生する吸着力でウィルスの侵入を防いでいます。従来のマスクでは洗うと静電気の効果が落ちますが、ファンデルワールス力は繊維の力なので洗っても効果が落ちず長持ちするため、医療現場で多くの関係者に利用されています。私たち株式会社いぶきにおいてもナノファイバーマスク「MIKOTO」を製造しています。

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油吸着剤「わたポイ」

ナノファイバーで作られた油吸着剤は、従来の物に比べ「油の吸収速度が早く、保持量が多い」という特長を持っています。株式会社いぶきが開発した「わたポイ」は最大で自重の50倍の油を吸い、2倍以上の保持量を発揮しています。油吸着剤は家庭用ではもちろん、タンカー転覆事故などでの海洋汚染対策に用いられ、地球環境にも大きく貢献できる製品となります。

わたポイ製品ページへ

地球に優しい素材としての可能性

ナノファイバーは、様々な視点から「地球に優しい」と言える素材です。その理由とはなんでしょう?こちらで解説していきます。

未来の素材は、ゴミから生まれる!?

ナノファイバーと一括りにしてもその種類は様々。ポリプロピレンやポリエチレンテレフタラートなどからなる高分子ナノファイバー、セルロースや腱やDNAなどのバイオナノファイバー、カーボンナノチューブなどのカーボンナノファイバー、金属からなるナノワイヤなど、種類に応じてそれぞれの特性を持っています。

この中でも高分子ナノファイバーは大量生産が可能なことから展開の可能性が最も高く、さらに繊維径を超極細(ナノオーダー)にすると、抗菌性や超微粒子補足性やスリップフローなど通常の太さの繊維にはない新しい機能が出現します。

ちなみに、私たちが開発した「IBUKI NANO」はポリプロピレンを原料とした高分子ナノファイバー!ポリプロピレンはレジ袋や包装用の紐、バケツなどに含まれている身近な原料なだけに廃棄量も多く、だからこそ資源を再利用した廃PETナノファイバーを実現するため、研究開発が進められています!

限られた資源の消費を抑え、住みよい世界に。

ナノファイバーが持つ可能性の一つに「耐熱効果」が上げられます。例えば、ナノファイバーを吹き付けた壁材を使った家を建てたとしましょう。ナノファイバーほど極細の繊維を吹き付けられた壁材には「真空膜」が張られ、結果的に断熱材としての役目を果たし、冷暖房器具の稼働量を減らすことで地球環境にも貢献できると期待されています。これは、空気分子の自由行程がφ68nmであることに対して、ナノファイバーの径が50nmの層を形成する…つまり、「ナノファイバーが空気すら入り込めない細かな層を作り上げるから」なんです。同様の観点から保温性能が高い衣類を作ることも可能と考えられ、ダウンに使用されている羽毛の消費量抑制、つまり動物愛護にも繋がっていくと考えられています。

海水の淡水化、雨の貯水で水不足にも貢献!

淡水の入手が難しい島嶼(とうしょ)国家、離島などにおいて、安定的な水の供給は重要な課題です。そこでナノファイバーの特性である「超比表面積効果」を活用し、海水を蒸発させて淡水を取り出す方法が考えられています!さらに、その過程で発生する高濃度の食塩水を利用して浸透圧発電も同時に行うことで、海水から「淡水」と「電気」を同時に生み出すことも理論上可能。また、ナノファイバーの特性のひとつでもある撥水性を利用し「砂漠にナノファイバーシートを敷き人工オアシスを作成する」ことも可能と考えられており、様々な要素からナノファイバーが水不足に貢献できると言えるでしょう。

ナノファイバーで描く新しい未来

今後の活用が期待される分野

ナノファイバーの3つの性質「超比表面積効果」「ナノサイズ効果」「超分子配列効果」を有効活用することで、活用が期待される分野は多岐に渡ります。冒頭でお話ししたようなSFアニメのようなテクノロジーに加え、健康福祉分野においては「再生医療」や「人工筋肉」としての活用にも着手。地震が多い日本における安心安全の家づくりのために、より強固で柔らかいコンクリートの開発にもナノファイバーの導入が検討されています。今後は、ナノファイバーで砂漠の緑化を進め、その土地で育んだ植物からナノファイバーの原料を取り出し、さらにナノファイバーを生み出して普及・浸透させていく…そんな好循環が生み出されるかもしれません。

カーボンナノファイバーの可能性

これまでに説明したナノファイバーに「カーボンファイバー」を掛け合わせ、双方の魅力を両立させた「カーボンナノファイバー」にも今後の期待が寄せられています。

アルミニウムの半分の軽さで鋼鉄の20倍の強度にもなると言われているカーボンナノファイバーへの期待は、例えば未来で宇宙空間と地球を繋ぐ宇宙エレベーターができたときにロープとして利用されることが期待されるほど。まさに近未来を実現する可能性に満ちた素材と言えるでしょう。

企業力で「夢に見た未来の実現」を推進していく。

私たち株式会社いぶきは、不動産事業を主軸に、駐車場経営事業、貸会議室事業、ホテル事業など多岐に渡る事業展開で拡大を遂げた企業です。創業は1978年。開発会社の株式会社Zettaとの業務提携によりナノファイバー「IBUKI NANO」を独占製造しています。これまでに培ってきた企業体力を糧にナノファイバーの研究開発を進め、社会への普及を推進してまいります。

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